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冬音 「NARUTO」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。

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「抱いて」



 イルカは目の前の男と布団の上、睨み合っていた。男はジリジリとイルカとの間合いを詰めて来る。その距離、今、一尺ほど…。これ以上の距離を縮められないよう、精一杯睨むが男はどこ吹く風だ。白魚のような指先をイルカに向けて伸ばしてくる。
(…逃げられない!)
緊張で体が強張る。蛇に睨まれた蛙か。…とんと軽い動作で白い指先がイルカの肩を押した。ころんとあっけなく転がる体にイルカは舌打ちする。

「…抱イテ」

男がイルカに跨り、強請るような媚を含んだ声音で言い放った言葉に唖然とするよりも眩暈がする。

「…カカシさん、酔ってるんですか?」
「エー? 酔ってナイヨー?」

カカシがオカシイ。イルカは胴に跨ったカカシを見上げ、どうしたものかと思案する。…この状況を何とかしなくては。

「酔ってますよね?」
「酔ってナイ。あれしきの酒で、酔う訳ないデショ」
「酔ってますよね?」
「だからー、酔ってないって、俺は言ってるじゃナイ?」

テンションが高い、浮かれていると語尾が微妙に跳ね上がり、アクセントが強くなるのはカカシの癖だ。言いくるめるように、畳み掛けるように、「俺はアンタに発情しています」な顔でカカシに迫られ、イルカは落ち着かない。カカシが「抱かせて」と言ったのなら、最初は嫌よ嫌よで結局は体を開いていたのだろうが、何を血迷ったか、カカシは「抱いて」と言った。…意味が解らない。
「酒臭いですよ」
「ちょっと、飲んだけど、酔うほどじゃないよ。…ね、いいでショ?」
「何がいいんですか?…ってか、何かあったんでしょう?白状なさい!」
ぐぐぐっと迫ってくる相手を両腕を突っ張ることで何とか堪える。細身に見えて、カカシは以外に力が強い。だが、なし崩しだけは避けたい。睨みつけるとカカシは力を緩めて頬を膨らませたが、上からどいてくれるつもりはないらしい。
(…何だ、アンタは子どもか…)
今時、三歳児だって拗ねたとあからさまな顔なんかしない。
「…今日さー、飲み会だったのネ?」
「知ってますよ」
気の知れたアスマやライドウ、ゲンマ、ガイと言ったいつもの面々な上忍の集まりにイルカも来ないかと誘われたのだが、イルカは夜勤が入っていたので断った。
「その隣で、くノ一が女子会やってたの」
「はぁ」
「その女子会で、くノ一たちがイルカ先生のこと話してたの」

…カカシの要領を得ない話を纏めるとこうだ。

聞き耳を立てるつもりなどなかったのだが、彼女らはその場のノリと酔いもあってかテンション高く、声もよく通り、聞きたくなくても話が筒抜けだったらしい。最初は気にすることもなく聞き流していたのだが、彼女らの口から、「イルカ」の名前が上がり、聞き流せなくなった。

「くの一たちが言ってたんですよ。イルカ先生は見かけによらず、エッチが上手だったって!」

三十前の男が「エッチ」とか言うと萎えるが、相手が顔だけは滅法整ったカカシなので不覚にも、ちょっと股間に来た。それを咳払いで納めて、イルカはカカシを見やった。

「…それで?」
「イルカ先生が床上手なんて、俺、聞いてません!…ってか、俺の知らない先生がいるなんて、イヤ!」

…で、「抱いて」の発言に繋がるらしい。イルカは溜息を吐いた。…自分が上手いのかどうかはよく解らないが、要は前戯と後戯が出来ているかいないかだと思う。自分が抱かれる身になってみて、それが身にしみてよく解った。そして、今更、抱く方に回りたいとは思わない。生殖器官じゃない場所を使うので、負担はあるし、終わった後は体は怠いのだが、抱くより抱かれる方が楽だ。何もしなくても勝手にカカシがあの手この手で頑張ってくれるので、マグロでいられるし、疲れた素振りを見せれば、無理強いして来ないし、後始末も喜んでやってくれるので、すごく楽。これが抱くほうだと、相手のことも考慮しつつペース配分を考えて、あーしてこーしてと突っ込むだけで済まないから面倒臭いし、後始末も疲れるから、今更、イヤだ…とは、流石に目の前の男には言えない。
「抱かれる俺を知ってるのは、カカシさんだけですよ。それじゃあ、駄目ですか?」
誤魔化せ、誤魔化すんだ!イルカ!!…腕をカカシの肩へと回して、イルカは笑った。
「…そーだけど、…でも、」
カカシに逡巡が生まれる。よしよし、後、ひと押しだ。…ああ、本当に、面倒くさい男。…ってか、明日が休みで本当に良かった。じゃなきゃ、こんな捨て身の作戦なんか取れやしない。

「…カカシさん、」

羞恥をかなぐり捨てて、カカシの首へと体重を掛ける。それに逆らうことなく沈んできたカカシの耳元にイルカは色をつけて囁く。

「抱いて?」

アンタが俺をそういう風にしてしまったんだから、責任取れよ。今更、アンタを抱く雄に戻れるか!…皮肉と嫌味を込めて放った言葉に、あっさりと陥落してきたカカシの頭を掻き抱いて、イルカはこっそりと長い溜息を吐いた。


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